平成14年度


柳田 紀美子さん
柳田 紀美子さん 
1987年奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒
1988年〜インド、デリーのH.K.Behera師よりオリッシィダンスの基礎を学ぶ。
1993〜95年、オリッサに滞在、S.C.Swain師の指導を受け、
その後毎年渡印、インド芸術大学よりオリッシィ課程修了証(Diploma)取得、
インド国営放送テレビに出演、他インド各地で公演、
日本では唐招提寺の文化講座、築地本願寺などで演舞。
東京・大阪・神戸にて舞踊クラス主宰。



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オリッシィの特徴は、動きとその内容がある一定の決まり事に基づいて結び付けられているということ、
さらにその表現様式が他の舞踊に比べてとりわけ美的で詩情豊かであるということです。
オリッシィが一千年前に起源を持つ、インドの一地方の舞踊であるにもかかわらず、
時代や場所、民族の枠を越えた普遍性を持っているということは、
オリッシィの大きな魅力です。



マンガラチャラン
「ガンガ タランガ」
花を捧げて神様を祝福する神招きの舞。
破壊と創造を司り、大河ガンガーの恵みを地上にもたら
す シヴァ神の偉業を讃えて踊ります。
パラヴィ
「ラーガ:キルワーニ」
優雅でリリカルな舞踊モチーフを展開する抽象舞踊。
アビナヤ
「チャンダナ・チャルチータ」
(白檀を塗りましょう)
12世紀サンスクリット語連作歌曲集


「ギータ・ゴーヴィンダ」より。
アビナヤとは演技・演劇と言う意味。


クリシュナ神と、彼を慕う女性たちとが恋人のように


戯れる様子を手の型や身体各部位を無限に使って、


繊細に表現する語りの舞踊。
モクシャ
神送りの舞。
神様に全身全霊を献じる開放の舞。



サリーって一人ではなかなか巻けません (^_-)ネッ 素敵でしょう?
サリーの巻き方を指導していただいて・・・。
モデルは,新入会員のお二人です。
ハイ、ポーズ!


オリッシィの歴史
「オリッシィ」は、ベンガル湾に臨むインド東部オリッサ州の古典舞踊です。


ルーツは8〜13世紀、オリッサ州がヒンドゥー教の大聖地として栄え、


数々の壮麗な石造寺院が建立された時代にあります。


寺院群の中心的存在「ジャガンナータ寺院」は宇宙の主とされるヴィシュヌ神の


化身ジャガンナータ神をまつり、インド全国から巡礼者を集め栄えました。


この寺院では,「マハリ」とよばれる巫女が神様のお世話をし、


霊的交信をする役目を担っていました。


このマハリの起こりは2世紀頃に遡りますが,1


0世紀頃から神への供物として舞を献じたのがオリッシィの始まりです。


12世紀、宮廷詩人ジャヤデーヴァが神を讃えるサンスクリット語連作歌曲集


「ギータ・ゴービンダ」を創作すると、


オリッシィはその詠唱とともに神への奉納舞として


王朝から奨励され、ますます発展していきます。

16世紀イスラム王朝の侵略によって寺院での宗教儀式が中断され、


マハリにかわって「ゴティプア」とよばれる女装した少年の踊り手が


寺院の外で大衆に向かって踊りを披露するようになりました。


マハリ時代の精神性とゴティプア時代の技を継承しているのがオリッシィです。

20世紀半ば、


時代の流れでオリッシィの舞踊の伝統は消滅寸前にまで追い込まれますが、


偉大なる舞踊の師ケルチャラン・モハパットラが見事によみがえらせます。


古代サンスクリット舞踊聖典「ナーティヤ・シャーストラ(演劇の科学)」や


彫刻・壁画などから、オリッシィを洗練された舞台芸術として体系化します。



現在オリッシィはインド政府機関の保護・奨励を受けながら、


さらに学術的調査・実践の両面から研究がなされ、


世界のあらゆる都市で公演活動が行われています。